マムシ咬傷まとめ
まだまだ気温が下がりませんね。
山間部に住んでいると、この時期はまだマムシ咬傷にたびたび出会うとおもわれるので、私見を含めてまとめてみました。
❏抗毒素血清投与の是非について
施設により投与基準が異なり、議論のあるところかと思うのですが、入院日数の短縮、重症度進行や全身症状の予防など、ポジティブに働くような有意差のあるデータの報告はされているので、GradeⅢ以上の症例や受傷後急速な腫脹の進行を認める例、血小板減少型などには投与が推奨されるかと思われます。
❏抗毒素血清投与時の除感作について
添付文書上は皮内、皮下投与の試験後、リスクの高い症例には抗ヒスタミン薬、ステロイド全身投与、エピネフリン投与などの処置をとるよう記載があります。海外の報告ではこの中のエピネフリンのみが、投与後のアナフィラキシー出現率を有意に低下させた報告もあるようです。しかしながら、こちらも施設によって基準が設けられているところもあり、かつステロイドは腫脹進行の妨げに寄与している可能性もあるため、当該施設基準に従うのが無難かと思われます。
❏マムシ血清2度目移以降の投与に関して
アナフィラキシー発現のリスクがかなり高くなります。が、やはりGradeの高い症例には投与検討すべきでしょう。投与前には除感作処置が必要と思われます。
❏抗毒素血清投与時間
早期投与が予後を分けるかどうかですが、受傷後6時間以内の抗毒素血清投与入院日数を有意に短縮した報告があります。
❏セファランチン投与
こちらも投与群で入院期間の短縮を認めた報告があります。副作用リスクも少ないのも投与しやすいポイントです。投与期間の目処は私が以前いた施設では腫脹のピークアウトまでとしていました。
❏創部の切開について
応急処置としての切開で予後の変化はないとの報告があるようです。
また切開を大きくとったことにより、潰瘍形成や壊死し、入院日数が長期化した報告もあります。個人的には血疱形成があり、かつ腫脹が強ければその部位のみ小切開すると疼痛が緩和されやすい印象です。
❏ラボデータと臨床症状の相関
CK、LDH、ASTなどとの重症度の相関が報告されています。
以上になります。蛇咬傷は初対面だとかなり対応に迷いますよね。
私見をふまえて記載しましたため、施設や医師によって対応、ご意見は異なるとおもいますので、その点はご了承ください。
ジャパンスネークセンターは毒蛇110番と題して相談を受け付けてくれているようですので困ったときは連絡してみるのもありだとおもいます。
参考文献
・四方哲里ら:日臨外会誌 64 (9), 2100-2104, 2003
・正田哲夫ら:日本小児アレルギー学会誌 第22巻第3号357-362,2008
・古内加耶ら:日臨救急医会誌25 21-7,2022
・坂元亮子ら:臨皮76巻5号 174-176,2022
爪白癬治療薬まとめ
爪白癬治療薬のまとめと特徴
〇内服
①イトラコナゾール
400mg/日を食直後に1週間投与,その後3週間休薬。これを1サイクルとし,3サイクル実施。併用禁忌・注意薬多し。比較的短い治療期間となる。
②テルビナフィン
125㎎/日の6カ月間連続内服。定期採血必要。シクロスポリンなど併用注意薬あり。
治療期間が長くなるため、患者のアドヒアランスに左右されやすい。
③ホスラブコナゾール
100㎎/日を12週間投与。肝機能障害生じる可能性あり、適宜血液検査を。
ワーファリン、シンバスタチン、ミダゾラム併用注意。ワーファリンは作用増強の可能性あり、PT-INR測定を。
〇外用
エフィナコナゾール
ルリコナゾール
足白癬について
足白癬の原因菌
Trichophyton rubrum
Trichophyton interdigitale
の2種で9割以上を占める。
生存期間は数カ月~1年程度とされているが、高温多湿環境ではその限りではない。
感染機会としてはフローリング、畳、布団、スリッパ、バスマットなど屋内のあらゆる場所が温床になってしまう。
予防は家族や同居人の治療と、感染成立前の真菌の除去が効果的となる。